『佐藤の告白』藤紘
SNSで見かけて気になっていた『佐藤の告白』を読みました。
めちゃくちゃ良かったです。
藤紘さんの本を初めて読んだんですが、他の作品も手に取ってみたいと思いました。
「佐藤が鈴木に告白したらしい」というたった一つの噂をもとに物語は進んでいきます。
最初は佐藤のことがずっと好きだった「ひなの」という女生徒の視点から始まります。
ひなのは佐藤に告白されたことを広めたのは鈴木だという噂を信じ、鈴木を敵対視しています。
なぜ私の好きな佐藤が鈴木なんかを好きになったのか。と憤っているんですが、佐藤の噂や悪意をどうすることも出来ない自分の無力さに打ちひしがれます。
そこから視点は佐藤から教師オカジュンに代わります。
オカジュンは過去にいじめられた経験があるんですが保健室のセンセイによって救われます。
しかし教師になった自分は何事も穏便に済まそうとする、生徒とも教師とも軋轢を避けようとする教師になっていることに悩み、苦しみます。
ただオカジュンはあることをきっかけに変化します。
その心の葛藤と変化はグッとくるものがあります。
生徒の悪意に立ち向かうシーンはとても良くて、そこで解決したり全てが好転するような展開ではない、後味が良くない展開もいいです。
その後は佐藤の母親、そして鈴木と視点が変わりながら進んでいくんですが、最後の鈴木の視点では驚きがありました。
ぜひ読んでみてほしいです。
他にもハッとさせられる場面がありました。
それは佐藤の「俺って何か悩んでいた方がいいんですか?」という言葉です。
もし男子生徒が女子生徒に告白して振られたという話なら心配したり、声をかけたりするだろうかと自分に問いかけてみました。
好きな人に告白して振られたということに教師が心配して声をかけるものなのか。
当事者は好きな人に振られたこと以外で悩まなくてはならないのか、悩んでいてほしいと思っているだけではないのか。
そんなことを考えさせられました。
そしてこの小説で特に見事だなと感じたのは教室内の空気感の表現です。
指導されるわけではないけれど、確実にある悪意ある空気を文字で表現しています。
冗談だという逃げ道を作ることで、その悪意を指摘する側を空気を読めない側にしてしまうあの嫌な空気を見ていたのかというレベルで書いています。
いろんな問題があっという間に解決したり、スカッとするような展開にはけっしてなりません。
ただ、少なくとも誰もが顔を伏せる、後ろを向くだけの展開にはなっていません。
ぜひ読んでみてほしいお勧めの1冊です。

SNSで見かけて気になっていた『佐藤の告白』を読みました。
めちゃくちゃ良かったです。
藤紘さんの本を初めて読んだんですが、他の作品も手に取ってみたいと思いました。
「佐藤が鈴木に告白したらしい」というたった一つの噂をもとに物語は進んでいきます。
最初は佐藤のことがずっと好きだった「ひなの」という女生徒の視点から始まります。
ひなのは佐藤に告白されたことを広めたのは鈴木だという噂を信じ、鈴木を敵対視しています。
なぜ私の好きな佐藤が鈴木なんかを好きになったのか。と憤っているんですが、佐藤の噂や悪意をどうすることも出来ない自分の無力さに打ちひしがれます。
そこから視点は佐藤から教師オカジュンに代わります。
オカジュンは過去にいじめられた経験があるんですが保健室のセンセイによって救われます。
しかし教師になった自分は何事も穏便に済まそうとする、生徒とも教師とも軋轢を避けようとする教師になっていることに悩み、苦しみます。
ただオカジュンはあることをきっかけに変化します。
その心の葛藤と変化はグッとくるものがあります。
生徒の悪意に立ち向かうシーンはとても良くて、そこで解決したり全てが好転するような展開ではない、後味が良くない展開もいいです。
その後は佐藤の母親、そして鈴木と視点が変わりながら進んでいくんですが、最後の鈴木の視点では驚きがありました。
ぜひ読んでみてほしいです。
他にもハッとさせられる場面がありました。
それは佐藤の「俺って何か悩んでいた方がいいんですか?」という言葉です。
もし男子生徒が女子生徒に告白して振られたという話なら心配したり、声をかけたりするだろうかと自分に問いかけてみました。
好きな人に告白して振られたということに教師が心配して声をかけるものなのか。
当事者は好きな人に振られたこと以外で悩まなくてはならないのか、悩んでいてほしいと思っているだけではないのか。
そんなことを考えさせられました。
そしてこの小説で特に見事だなと感じたのは教室内の空気感の表現です。
指導されるわけではないけれど、確実にある悪意ある空気を文字で表現しています。
冗談だという逃げ道を作ることで、その悪意を指摘する側を空気を読めない側にしてしまうあの嫌な空気を見ていたのかというレベルで書いています。
いろんな問題があっという間に解決したり、スカッとするような展開にはけっしてなりません。
ただ、少なくとも誰もが顔を伏せる、後ろを向くだけの展開にはなっていません。
ぜひ読んでみてほしいお勧めの1冊です。

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