『グレタ・ニンプ』

 綿矢りささんの『グレタ・ニンプ』を読みました。

 綿矢りささんのデビュー25周年の作品ということで、あれから25年もたったことに驚きました。

 あれからというのは2004年に金原ひとみさんと19歳で芥川賞を受賞された時のことです。

 当時、大学生だった僕は自分より年下の作家でしかも芥川賞ということでかなり印象に残りました。

 その時の受賞作『蹴りたい背中』は読んだんですが、綿矢さんの作品はもしかするとそれ以来の作品になるかもしれません。

 『グレタ・ニンプ』を読んだのはどこかで見かけた表紙のインパクトとタイトルの響きでした。

 表紙に書かれたイラストからはニンプが妊婦であることをイメージできないキャラクターが描かれています。

 タイトルを見てグレタ・ニンプを「グレた妊婦」にはなかなか変換出来ないと思います。

 内容はタイトル通りで、不妊治療に通っていた女性が不妊治療を止めた後に妊娠をし、その妊娠を機にグレたという物語です。

 えっ!?どゆこと?その流れでなぜグレるの?ということになると思うんですが、グレた妻の由依の姿に読者と同じように戸惑うのは夫の俊貴です。

 そんな俊貴目線で物語は進んでいくんですが、由依の変化に対して被害者のように振る舞う俊貴がどう変化していくのか、由依はどうしてグレたのか。

 けっしてふざけた展開とかではなく、不妊治療の苦しみや出産、育児の大変さも感じることが出来る良い小説でした。

 あと、面白かったのは独特のフォントの使い方でした。

 ところどころで文字が大きくなったり、フォントが大きく変わったりするんですが、小説の文字の使い方ってこういうのがあってもいいなと読みながら感じました。

 単にインパクトが強いというだけでなく、由依の感情がより伝わってくるように感じました。

 全部の小説でこれがいいとは思いませんが、文字を自由に使うという意味ではこういう使い方をする小説があっても面白いなと思いました。

 表紙にひかれた人は1度、読んでみてください。




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