『本でした』又吉直樹 ヨシタケシンスケ

 『その本は』に続いて又吉さんとヨシタケさんが2人で書かれた『本でした』を読みました。

 物語は又吉さんとヨシタケさんっぽい2人がある町で本屋さんを開くという話です。

 その本屋は人々から集めたちょっとした本の手がかりだけで元の本に復元するという本屋さんでした。

 復元依頼シートにはタイトル、書き出し、最後の1文、挿絵、主人公、といった本の断片だけが書かれています。

 その断片に続いて実際に復元された本の内容が掲載されているという本になっています。

 又吉さんが担当している本、ヨシタケさんが担当されている本のどちらもあって、どの作品ももれなく面白いです。

 その中でも1番印象に残ったのは最後の主人公が本が好きでした。という断片から作成されたものが良かったです。

 ただ本が好きな少年の物語で、本が好きということが他と比べてなぜかネガティブに使われることが多いことを不思議に感じながら本が好きだということに向き合う物語でした。

 「本ばっかり読んでるのって普通じゃないよね。本が友達って感じ?」と聞くあの子は「野球ばっかりしてるのって普通じゃないよね。ボールが友達って感じ?」とは聞かないんだろうなと思いながらその子にそのことを伝えられない自分。
 
 それでも本好きな少年は本を好きなことと向き合っていく。

 父親が物語を読み、「この先どうなると思う」と聞いてくれて物語を想像することの楽しさを教えてくれたように少年もまた想像していく人生を歩む。

 本が好きな2人が本への愛情を詰め込んだ1冊のように感じました。

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