一言で表せない感動
今回はnote企画の「一言で表せない感動」に挑戦してみます。
企画内容はリンクを貼っておきますので、興味がある人は挑戦してみてください。
作家の町田その子さんが審査員で受賞作は本に掲載されるチャンスです。
題名「手を離すとき」
「だっこ、だっこ」と両手を伸ばしてきた日々が、いつの間にか遠のいていった。
最近の長男は「歩く、歩く!」と誇らしげに言いながら、自分の足でしっかりと前に進んでいく。
来年からは小学生。ランドセルを背負う姿を思い浮かべると、その成長が嬉しくててたまらない。
けれど、胸の奥には言葉にしづらい切なさも同時に広がる。
どこかに出かけた時、荷物を持ちながら長男を抱きかかえたあの日の腕の痛みを、今でも鮮明に覚えている。
汗ばんだ小さな額を肩にうずめてきた温もり。正直、重くてしんどいと思ったこともあった。
けれど、その重さを腕に感じられるのは、ほんの限られた時間だったのだ。
今では「自分でできるよ」と言って荷物を持とうとしたり、「抱っこはいい」と笑って駆け出したりする。
できることが増えていく姿は、確かに頼もしい。親としてこんなに誇らしいことはない。
けれど同時に、「もう抱っこを必要としないんだ」と気づくたび、胸のどこかにぽっかりと穴が開いたような気持ちになる。
夜、寝る前のひととき。自分でパジャマに着替え、寝る準備をする長男を見ていると、その小さな背中が頼もしく少し遠くに感じられる。
ついこの間まで「お父さん、手伝って」とパジャマを差し出してきたのに。
嬉しいはずなのに、なぜか寂しい。感情が交じり合って、言葉が追いつかない。
スイミングスク-ルに行くようになってから、一緒にプールに行った日もそうだった。
浮き輪を外して自分で泳いで水の中に潜る姿に拍手を送りながら、「もうすぐ自分の手を離れていくんだな」と胸がきゅっとした。
嬉しいことは間違いない、感動しているのも確かだ。それでも、それなのに、どうしようもなく寂しい。
この感情を一体なんと呼べばいいのだろう。
喜びと切なさが重なり合い、どちらかだけでは表せない心の揺れ。親になって初めて知る種類の感情。辞書をひもといても、きっと見つからないだろう。
長男は今日も「歩く、歩く!」と笑顔で駆けていく。その背中を追いかけながら、思う。
この先も、できることが増えるたびに同じ感情を繰り返すのだろう。
手をつなぐことが減り、振り返ることもなくなり、やがては自分だけの道を歩んでいく。

今回はnote企画の「一言で表せない感動」に挑戦してみます。
企画内容はリンクを貼っておきますので、興味がある人は挑戦してみてください。
作家の町田その子さんが審査員で受賞作は本に掲載されるチャンスです。
題名「手を離すとき」
「だっこ、だっこ」と両手を伸ばしてきた日々が、いつの間にか遠のいていった。
最近の長男は「歩く、歩く!」と誇らしげに言いながら、自分の足でしっかりと前に進んでいく。
来年からは小学生。ランドセルを背負う姿を思い浮かべると、その成長が嬉しくててたまらない。
けれど、胸の奥には言葉にしづらい切なさも同時に広がる。
どこかに出かけた時、荷物を持ちながら長男を抱きかかえたあの日の腕の痛みを、今でも鮮明に覚えている。
汗ばんだ小さな額を肩にうずめてきた温もり。正直、重くてしんどいと思ったこともあった。
けれど、その重さを腕に感じられるのは、ほんの限られた時間だったのだ。
今では「自分でできるよ」と言って荷物を持とうとしたり、「抱っこはいい」と笑って駆け出したりする。
できることが増えていく姿は、確かに頼もしい。親としてこんなに誇らしいことはない。
けれど同時に、「もう抱っこを必要としないんだ」と気づくたび、胸のどこかにぽっかりと穴が開いたような気持ちになる。
夜、寝る前のひととき。自分でパジャマに着替え、寝る準備をする長男を見ていると、その小さな背中が頼もしく少し遠くに感じられる。
ついこの間まで「お父さん、手伝って」とパジャマを差し出してきたのに。
嬉しいはずなのに、なぜか寂しい。感情が交じり合って、言葉が追いつかない。
スイミングスク-ルに行くようになってから、一緒にプールに行った日もそうだった。
浮き輪を外して自分で泳いで水の中に潜る姿に拍手を送りながら、「もうすぐ自分の手を離れていくんだな」と胸がきゅっとした。
嬉しいことは間違いない、感動しているのも確かだ。それでも、それなのに、どうしようもなく寂しい。
この感情を一体なんと呼べばいいのだろう。
喜びと切なさが重なり合い、どちらかだけでは表せない心の揺れ。親になって初めて知る種類の感情。辞書をひもといても、きっと見つからないだろう。
長男は今日も「歩く、歩く!」と笑顔で駆けていく。その背中を追いかけながら、思う。
この先も、できることが増えるたびに同じ感情を繰り返すのだろう。
手をつなぐことが減り、振り返ることもなくなり、やがては自分だけの道を歩んでいく。
その日が来るまで、私はこの言葉にできない感情を大切に抱きしめていこう。嬉しさと寂しさが同居する、この不思議な心の重みを。

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