#未来のためにできること

 noteの投稿企画「未来のためにできること」に挑戦してみることにしました。

 テーマは未来のためにできることですが、コンテストは「文藝春秋SDGsエッセイ大賞2025」なのでSDGsの視点が必要なエッセイとなっています。

 「未来のためにできること」という大きなテーマを見た時に頭に思いついたのは今年から参加させてもらっているビオトープのことだった。

 ということで、以前にも書いたビオトープのことを中心にエッセイを書いてみようと思います。
 
 『名前を覚えるほうが楽しいから覚えるんや』

 息子が「何でそんなに虫の名前を知ってるん?」と聞いた時に「名前は覚えた方が楽しいから覚えるんや」さりげなく子供にそう言ったおっちゃんの笑顔がとても素敵だった。

 今年から家族でさとやまを守る活動に参加している。

 さとやまを守るというと少し仰々しく感じるが、実際は山の中に入っていき昆虫を採集したり自然とのんびりふれ合う活動だ。

 さとやまの入り口からビオトープがある場所までみんなで歩いて行く。

 みんなで歩いて行くといっても遠足みたいなそろって歩いていくわけではない、てんでバラバラに進んでいく。

 興味があったら立ち止まり、虫を追いかけ、分からなかったら聞く、そんな感じで進んでいく。

 とても自然な移動だ。

 せかされることもなければ、何かを見ることを強制されることもない。

 目的地であるビオトープに到着しても特に強制されることはない。

 スズメバチが飛んでいても危ないから刺されるなよ、痛いからと言うけれど何かをしてくれるわけではない。

 事前に危険を排除したり、安全に出来る何かをしてくれることはない。

 こけたら痛い、虫に噛まれたら痛い、そんなことを子供は自然に学んでいく。

 どうやったら捕まえられるのか、どうやったり見つけられるのか。

 そんなことを聞かれると「最初は分からんよ、慣れたら見えてくるし捕まえられる」と教えてくれる。

 僕らが学校で習ってきた「教える」とは全然違う「教える」がここにはある。

 ビオトープにある休憩所で「スケッチするか?」と聞かれるが、描きたい子は描くし描かない子はそのまま自然の中で過ごす。

 上手く描くコツや方法なんてものもまったく「教えてくれない」、「よく見て描く」それだけしかおっちゃんは言ってくれない。

 なのに、子供はどんどん素敵な絵を描く。

 絵を描いていないほとんどの子が虫を捕ったりするが、別にそれも強制されることはない。

 いろんな生き物を捕ってきてはおっちゃんに「これ何て言う名前なん?」と聞くとおっちゃんは生き物を大きな手で掴みよく見て「これはハラビロトンボやな。」とか「これはオオカマキリやな。お腹のところがここに紫の斑紋があるやろ。」と説明してくれる。

 そんなやり取りの中で子供が「なんでそんないろんな名前、知ってんの?」と聞いた。

 「名前は覚えた方が楽しいから覚えるんや。」おっちゃんはこう続けた「お前らも保育所とか学校で友達の名前を覚えるやろ、覚えたほうが楽しいやろ、それと一緒や。」

 さりげないけれど、本当に大切な言葉だなと思った。

 名前を知るということは興味を持つということで、興味を持つことは大切に扱うことに繋がる。

 子供の中にきっと生き物を大切にするという小さな種が植えられたと感じている。

 その種がどんな芽を出すのかは、大人が見せる姿しだいだ。

 生き物を大切にしよう、自然を守ろうと言葉だけで語るのではなく自然の中で自然に過ごし、自然の名前を覚えている姿を見れば、子供はきっと未来に自然を残してくれると思う。

 一緒に自然の中で自然で過ごす、それが僕たちの未来のためにできることだと思う。
 


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