『小説』野﨑まど

  本屋大賞に選考され、ダ・ヴィンチなどでも取り上げられていた『小説』を読みました。

 小説のタイトルに『小説』とつけるというのはかなりハードルが高いというか、冒険したなと思えるタイトルなんですが、それを超えてくる内容でした。
 
 小説を読まなくても人は生きていくことは出来ます。

 人生で1冊も小説を読んでいないからといってその人生がどうなのかは、その人によると思います。

 それでも僕は小説を読む人生を歩みたいと思っています。

 人はなぜ読むのか、読まずにいられないのか。

 主人公の内海集司はただ読むことに夢中になって、人生の大部分を読むことに費やします。

 感想を人に共有したり、感じたことを書き記したりしたいという欲はなく、ただひたすらに読むことを欲します。

 同じように読むことに夢中になっていた親友の外崎はある時、もう1人の重要人物モジャ屋敷に住んでいる小説家の影響で書くことに目覚めます。

 書くことに目覚め、小説を書く外崎とその書くものを読みたいと願う内海の関係は社会人になっても続いていく。

 小説を読むとは何なのか?なぜ小説を読むのか?内海への問いがいつの間にか自分に問われている気がしてきます。

 物語の後半はSFの要素も入ってくるので、ぜひ気になった人は『小説』を読んでみてください。

 小説に対してただ読みたいと願うのか、いつか自分も書いてみたいと願うのか。

 日本では現在、年間7万近くの本が出版されています。

 本全体なので、小説だけに絞ると半分以下になるかもしれませんが、それでも数万点の小説が出版され続けています。

 それだけの人が小説を書きたいと願い、書き上げています。

 そしてその小説を読みたいと願い、読んでいる読者がいます。

 僕は個人的に読みたいと思いつつ、書きたいとも願っていますが、最後まで書き上げることが出来ないでいます。

 それは想いが足りないからなのか、書きたいというテーマがはっきりしていないかは分からないんですが、「小説」に対する想いは変わりません。

 『小説』を読んでみて、自分は小説を書き、そして読んでみたいと思いました。

 『小説』の解説や視点の面白さなどは「好書好日」のコラムがとても良かったので気になる人は読んでみてください。




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