『家族解散まで千キロメートル』浅倉秋成

 『家族解散まで千キロメートル』を読みました。

 とても面白く「家族とは何なのか」という問いを考えさせられるミステリーでした。

 物語はある家族が自分たちが住んでいた家を壊して、解散するという物語です。

 解散する理由は老朽化しすぎた家を壊すこと、それにあわせて家族が新しい家族を作って独立したり両親も別のところで暮らし始めるからです。

 正月から引っ越し準備をしている矢先、物置小屋から仏像が発見されます。

 同時に青森から仏像が盗まれたというニュースが流れてきます。

 家族は父親の犯行を疑います。

 なぜならこの家の父親は誰にも何も言わずに出かけたり、とにかく家族に嫌われる存在だったからです。

 もちろんこの日も父親は家にはいませんでした。

 なぜ青森で盗まれた仏像が千キロも離れた家にあるのか?分からないまま、そんな中、住職はニュースで今夜中に返してくれれば一切の罪に問わないと宣言します。

 仏像さえ返せば全てがうまくいくはずだ、と家族は一致団結し青森に向かうのですが、道中いろんな謎が湧いてきます。

 本当に父親が犯人なのか?誰が仏像を盗んだのか?目的は一体なんなのか?

 犯行に隠された謎が明らかになっていくにつれて家族とは何なのか?

 家族を守るとは?家族がいることで自由は奪われるのか?家族は束縛するものなのか?許されない罪はあるのか?

 家族の常識って何なのか?とにかくいろんなことを考えさせられて終わっていく物語でした。

IMG_2223