『アーセナルにおいでよ』あさのあつこ

 『アーセナルにおいでよ』を読みました。

 あさのあつこさんの作品はずいぶん久しぶりに読んだ気がするんですが、とても面白い1冊でした。

 今回の主人公は起業する若者。

 そう書くとエネルギーに溢れた若者のように感じるかもしれませんが、そうではなく学校という場所、人と同じように過ごすことに違和感を感じた若者の話です。

 主人公は地方都市に暮らす高校3年生の川相千香とその初恋相手の芳竹甲斐という2人です。

 ある日、甲斐くんから千香のところに急に連絡が来ます。

 突然のことに驚きつつも久しぶりの再会を果たす2人。

 そこには話しが止まらない陽太という男の子が一緒にいて、2人で起業するから手伝ってほしいという話。

 千香に声をかけたのは、千香が図書館での居場所について書いた論文が全国で表彰されたという新聞記事が見たのがきっかけだということで千香は2人の話を聞く。

 甲斐が起業するアーセナルは自分のように学校に行けない子どもの声を集め具体的にどうするかを考えるというサービスを展開するというもの。

 読んでいてサービスの内容で面白いなと思ったのは誹謗中傷だけでなく、根性論や精神論のアドバイスも省いた具体的に何が出来るのかを提供するという点。

 学校に行かないとか、行けない子どもに対して誹謗中傷はもちろん根性論や精神論もムダだし響かないというスタンスはとても良かったです。

 千香は甲斐の話を真剣に聞き、アーセナルに興味を持ち起業を手伝うことになります。

 もう1人コトリというメンバーも登場し、4人の若者でスタートしていくアーセナルは果たしてどうなっていくのか。

 登場人物の成長や葛藤も描かれていて最後までとても面白い1冊でした。

 
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