『これが最後の仕事になる』

 「これが最後の仕事になる」から始まることだけが決まっている短編小説集。

 好きな作家さんが複数人いたので勢いで借りてしまったんですが、一気に読んでしまうほどとても面白かったです。
 
 他にも『黒猫を飼い始めた』から始まるシリーズ、『嘘をついたのは、初めてだった』という短編小説集もあるということでどこかで見かけたら読んでみたいなと思います。

 それにしても本当にショートショートには作家さんによっていろんな特徴があるんだなぁと感じました。

 「これが最後の仕事になる」という書き出しからこんなにも多くのパターンがあるとは、作者同士は事前に他の人のパターンを知っていたんでしょうか。

 もしかしたら設定がかぶってたらみたいなリスクはどうやって調整したのか、そのあたりも気になるシリーズでした。

 パターンとしては、短編の中で完結させてしまう、謎を残して終わる、次がありそうな終わり方にする、かなりのオープンエンドで終わる、実際にあったニュースをベースに作るなど本当に小説の数だけパターンがありました。

 読みながら、あらためてこの短い文章の中で物語を展開する作家さんの能力を尊敬しました。

 ちょっとだけ自分も挑戦してみようと思ったりしたんですが・・・

 『これが最後の仕事になる』から書き始めるとするならどうしても今の仕事の最後を想像して書く物語になってしまう気がしまいます。


 これが最後の仕事になる。

 最後の机を並び終えた私は誰もいなくなった空間を見渡した。何度、経験してもこの瞬間の達成感は何物にも代えがたい。机を並びながらついさっき嬉しそうに卒業証書を持っていたあいつの顔や少し寂しそうにしていたあいつの顔、まさか泣くと思っていなかったあいつの顔を思い返す。
 卒業式なんてわざわざ来るのめんどくさいと言っていたのに、最後に教室を出て行く時に感謝の言葉を残してくれた。

 なんかこういう展開から始まってしまうだろうなと思います。ここから感動の展開に話を展開していくのか、それともその裏切りの展開に持って行くのか。

 もしも続きを読んでみたいと言ってくれる人がいたら書いてみようかなと思います。

 ということで、リクエストお待ちしています。

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