『六月のぶりぶりぎっちょう』万城目学
 
 万城目学さんの新作『六月のぶりぶりぎっちょう』を読みました。

 今作も現実と非現実の世界が入り交じった万城目ワールド全開の不思議な物語でした。

 京都に関わる2作品が掲載されています。

 1作目は「三月の局(つぼね)騒ぎ」という物語です。

 京都にある昔からある少しおかしな女子寮で出会った不思議な先輩キヨとの物語です。

 各部屋の名前が古典のような名前で、寮の生徒のことも局と呼び合う不思議な寮で、なぜか14年も生活を続けていると言われているキヨ。

 ある時の部屋替えでキヨと同室になることになってしまった私は、ひょんなことからキヨの書いているブログを発見することになります。

 その文章の面白さに引き込まれた私は、かつて少数の批判によって書くのをやめていた文章をまた書いてみることにします。

 キヨとはいったい何者だったのか、面白い作品でした。

 2作目はタイトルにもなっている「六月のぶりぶりぎっちょう」という物語。

 こちらは歴史教師の滝川は、京都での研究発表に同僚のフランス人の先生と出かける。

 京都で案内役をかってでてくれた歴史教師の岡島と三人で、本能寺に関係する場所や寺社仏閣を訪れる。

 夜になって帰ろうとすると易者が現れて、本能寺の謎について聞いてくる。

 怪しみながらもついつい話を聞いてしまう滝川でしたが、激しい雷雨の瞬間に意識を失い、目が覚めると不思議なホテルの中に。

 そこで起きる密室ミステリーに巻き込まれてしまう滝川はどうなってしまうのか。

 果たして本能寺の変の謎との関係は、何なのか?

 歴史ミステリーと密室ミステリーが入り交じる不思議な物語は最後まで一気に読むのをおすすめします。

 本能寺の変の新しい説を提唱するとか、この説が有力だとかそんな話ではないです。

 ただとても面白いのでぜひ読んでみてください。

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