メメンとモリ

 
ヨシタケシンスケさんの3つの物語が入った絵本メメンとモリ』を読みました。
 
 「メメンとモリ」ってどういう意味?と思ったんですが、絵本の中では紹介されていません。

 絵本ではメメンとモリという姉弟の名前として使われています。

 少し気になったんで調べてみると、メメント・モリとは、もともと「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」「死を想え」という意味を持つラテン語の言葉みたいです。

 その言葉をヨシタケさんが「トをと」に変えたら2人組にみたいだなと思ったのがきっかけだそうです。

 今回の絵本は表紙が気になって手に取ってみて、子どもと一緒に読んだんですが、今までの絵本とは違った印象でした。

 インタビューでヨシタケさんが話している狙い通りで、子どもはキョトンとなる内容でした。

 何か感じるものはあったと思うんですが、きっとそこまで理解できていない感じがしました。

 大人も読み終わった後、不思議な感覚になる本で、3作の間にある見開きが黒く塗りつぶされているところなんかも、どういう意味なんだろうと考えてしまいました。

 読み終わって心に残っているのは2作目の雪だるまの話でした。

 雪が少ない地域では少しの雪でもすぐに雪だるまを作るんですが、雪が少ないので絵本に出てくるみたいな汚い雪だるまが完成します。

 作る前まではあんなにワクワクしていたのに完成したときに思っていたのと違って勝手にがっかりしてしまう。

 絵本ではその後、その雪だるまが擬人化されて同じようにきたない雪だるまを撮る写真家になるという物語が進んでいきます。

 勝手に期待して勝手にがっかりして、勝手に離れていく。

 これって「きたない雪だるま」の話でありながら日常的に起きている人間関係の話なんだろうなと感じました。

 人に対して勝手にこれくらいやってくれるだろう、これくらいは分かってくれるだろうと期待して、やってくれていない、分かってくれないとガッカリする。

 そしてあの人はこうだよね、こうだと勝手に決めつけてしまう。

 他の2作も考えさせられる内容となっていて、いつものヨシタケさんの絵の可愛さはありながら内容は大人に響くものになっていました。



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