定食屋「雑」原田ひ香

 定食屋「雑」原田ひ香を読みました。

 原田ひ香さんの作品は『三千円の使いかた』『古本食堂』『三人屋』『財布は踊る』などそれなりの作品を読んでいます。

 どの作品も外れがない作家さんだと感じています。

 作品のキーワードは「食」と「お金」と「人情」という感じがします。

 つまり人が生きていくうえで必ず関わるモノがテーマとなっています。

 なので、どの作品を読んでも何かしら響く内容になっています。

 本作の内容もどこかに心当たりがある作品な気がします。
 突然夫から離婚を切り出された30代の沙也加が、離婚の理由を探るべく夫が頻繁に立ち寄る定食屋へ偵察に行くところから始まります。その定食屋「雑」で出てくる料理は、丁寧な暮らしを心がけ、健康的な料理を夫に出していた沙也加の料理とは正反対の大雑把で濃い味付けのものばかり。しかし、沙也加は店主の老女「ぞうさん」と次第に距離が縮まっていき・・・。年齢も人生もまったく異なる女性ふたりが明日を切り開く姿に勇気がもらえる、心温まる物語です。

 想像力を本から学ぶ

 本を読みながらきっと僕はこうやって想像力を身につけているのかもしれないなと感じます。

 人と出会える数は限られていますし、内面まで深く知る関係の人なんてかなり少ないと思います。

 相手の気持ちに立って考えなさいという言葉を耳にしても、相手の気持ちに立つって簡単なことではないのにな…と思ったりしてしまいます。

 相手の気持ちを想像しようにも、育ってきた環境も何もかもが違う相手の気持ちを想像するのはとても難しいです。

 だから本を読み、どんな人がどんなことを考えたり感じたりするのだろうかということを学び、そして自分の中に想像の引き出しを増やしていく。

 そうやってやっと少しだけ相手のことを想像できることが出来る、相手の靴を履くことができるんじゃないかなと思っています。

 本を読むということで、想像力を学ぶことが出来る、そんなことを思っていたりします。


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