『ことば、身体、学び「できるようになる」とはどういうことか』為末大 今井むつみ
元陸上選手である為末大さんと言語学者の今井むつみさんの対談本『ことば、身体、学び「できるようになる」とはどういうことか』を読みました。
とても面白かったです。
スポーツをしている人、指導している人にはぜひお勧めの1冊です。
スポーツをしていくうえで欠かせないのが感覚だと思います。
それぞれの選手が持つ感覚を言葉にすることはとても難しいのですが、伝えるためには言葉にしなくてはいけません。
以前、大谷選手がインタビューでボールを遠くに飛ばすコツみたいなことを聞かれていて「ボールをほんの半個くらいバットに転がしてから押し込む」みたいなことを話されていました。
多分、実際にはボールがそんな動きをしているわけではないと思うのですが、自分の持つ感覚を言葉にされたんだと思います。
為末さんも走る時に論理的に片方の足が接地する時に足を上げてと説明するよりも、フライパンの上にいるように足を上げるというほうが伝わることがあると話されていました。
またポンとかパンといった擬音を用いて選手に指導することで有名な長島監督の指導は、実はとても効果的で感覚を伝えるにはオノマトペは有効だと言われています。
身体の感覚を完全に言語化することは不可能ですが、言語化することで学び、分かるようになっていくということが書かれていて、とても納得しながら読むことが出来ました。
スランプや成長が停滞する理由も、理解することができました。
どうすれば、「わかる」ようになるのか。
中盤か後半で、ウサインボルト選手はトップスピードに乗ったらそれ以上にスピードを上げようしてはいけないという話が出てきます。
加速しようとしすぎることで、逆に遅くなるというとても面白い話です。
そこから「学び、そしできるようになる」ことに関してにつながっていくのですが、それがとても面白かったです。
〇〇が出来たほうがいい、〇〇も身につけたほうがいい、というふうに今の学びはとにかく出来ることを増やすことに重きが置かれています。
英語は早くから学んだほうがいい、いろんなことを体験したほうがいい、プログラミングは出来たほうがいい、スイミングをやっておいたほうがいい、ピアノを習っておいたほうがいいなどなど
やっておいたほうがいいことに限りはありません。
しかし、ボルト選手が言うように速くはしろうとすればするほど速く走れなくなっていく。
今、多くの人がこの状態になってしまっているのではないでしょうか?
簡単に情報が手に入り、やっておいたいいことだらけのプレッシャーにさらされてとにかく何でもやってしまう。
そうではなく、ことばを大切にし身体が伴った学びを意識していくことで本当に「できる」ようになる。
「できる」ようになれば、他のことは自然と「できる」でつながっていく、そういうことなのかなと本を読んで感じています。
ぜひこの本について誰かと話したいなと思いました。
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