『喫茶おじさん』原田ひ香
 
 『喫茶おじさん』を読みました。

 老後のこと、自分が主人公である松尾純一郎と同じくらいの年齢になった時どうやって生きているのかをぼんやり考ながら読むことが出来ました。

 主人公の松尾純一郎は57歳、早期退職を希望し、十分すぎる退職金をもらった現在無職のバブル世代のおじさん。

 妻子はいるが、娘は1人立ちし、妻とは別居中。

 自分はそれなりに頑張ってきたつもりだけれど、世間からみると恵まれたままサラリーマン終えることが出来たおじさん。

 退職をきっかけに自分が好きだった喫茶店をオープンさせたけれど、数ヶ月で閉店してしまう。

 そのことを反省はしていているけれど、明日の生活に困るほど追い込まれているわけではないではないおじさん。
 
 自分の今の状況が実は恵まれていると言うことに気づかずに人と接してしまって「あなたは何も分かっていない」と言われてしまうおじさん。

 周りの人と比べて周りの人のほうが充実して、恵まれていて順風満帆だと本気で思ってしまっているおじさんが「喫茶店」を巡っていく物語。

 恵まれていることに無自覚で、実は自分はとても自由なことに気づいていないというところに心当たりがあるなと思ってしまいました。

 自分の最後をどう迎えるか

 読んでいて自分が人生の後半戦をどうやって生きていこうかをぼんやり考えました。

 今年で41歳になって、子供が成人するころに60歳くらいになります。

 その時の自分はどうやって生きているか。

 人生は思った通りになんか進まないことを前提として、ぼんやり自分の人生を設計してみるとやっぱり仕事以外のつながりはもっと必要だなと思います。

 多種で多様なつながりを作っておくことが、人生を生きるうえで大事になってくるなと思います。

 子供が自分の面倒を見てくれる保証なんてどこにもないと考えると、いかに子供を一人の人間として接しいくかが大切になると思います。
 
 『喫茶おじさん』はそんなことをぼんやり考えさせてくれる、いい小説でした。


 

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