『ストレス脳』アンデシュ・ハンセン

 『スマホ脳』に続いてアンデシュ・ハンセンさんの『ストレス脳』を読みました。

 今回も面白かったです。

 僕が1番なるほどなと思うのは、人の脳は1~2万年でたいして変わっていないという事実をもとに書かれているところです。

 人は誕生してから基本的な部分は変わっていない。

 生物的に最優先されているのはあくまで生き残ることで、そのために脳は指令を出している。

 現代の変化の速度に脳は対応して進化しているわけではない。

 そう考えるとストレスというものに対する見え方が変わって来る。

 生き延びるためには常に精神的に元気という状態はむしろ不自然な状態。

 今とは比較しても仕方ないくらい人は命の危険が多い中で生きていた。
 
 感染症、飢餓によって多くの人間が死を迎え、平均寿命は今の半分以下で、親は子どもを亡くすことが圧倒的に多かった。

 人間の本能は何を求めているか

 数万年の間、大きく変化していない脳が求めていることは「運動して孤独を避け、他の人を助ける」という行動。

 この行動は本能に基づくもので生き残るために脳が必要だと判断していること。

 でも人は運動をしたくないという不真面目な部分を持っている。

 孤独でもやっていけるし、人と関わったり他の人を助けるのは面倒と感じる人もいるかもしれない。

 しかし、自分でそう思っていても多くの人は鬱や精神疾患を抱えてしまっている。

 生き残るために人は運動しなくてはならないし、孤独ではダメだし、人を助けなくてはならない。

 『学び合い』で西川純教授がたびたび話される内容である『学び合い』は、人間の本能的なものというのがここで結びつく。

 学校の効率的に工業化された社会で生きるための一斉授業スタイルは、たかが100年程度の歴史であって、人間の脳はそのシステムには実はあっていない。

 『ストレス脳』は『スマホ脳』に続いて読んでおくべき1冊だと思います。 
 
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