『まずはこれ食べて』原田ひ香

 原田ひ香さんの作品かなり読んでいます。どれも面白いです。ミステリー要素も少し入っていました。病院の電子カルテ関連のベンチャー企業が舞台。社員の中心は大学の仲良しグループ、それぞれが自分の得意分野を活かして会社を大きくしてきた。しかし、リーダー的存在であった1人がある日から失踪していた。会社はそれなりにうまくいっているが、全員にどこか不安定な雰囲気がある。
 そんな中、会社に家政婦さんを雇うことになる。愛想があるわけではないけれど、基本に忠実な夕食と夜食を作ってくれる。家政婦さんとの会話と料理によって全員の関係と雰囲気が少しずつ良くなっていく。そんな時、失踪していたリーダーが見つかったという知らせが届く。会社はいったいどうなっていくのか、全員の未来はどうなるのか。
面白かったです。

 誰もが何かを抱えている

 それぞれのメンバーごとの目線で物語が進んでいくんですが、周りから見れば恵まれていたり幸せそうに見えていても、それぞれが悩みを抱えていることが描かれています。周りに頼りにされているので、本当は弱音が吐きたいのに強がってしまう。自分だけが必要とされていないんじゃないかと悩む、自分の出生に悩む、このまま慣れた環境で過ごしていいのか悩む…
 人から見るとたいしたことないようなことであっても、当人からするとどうしても抜け出せない。小説に限らず現実であっても人は何かを抱えて生きている。外に見えている表面上の姿だけで人を判断してはいけないとあらためて感じました。

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