『ウェルカム・ホーム』丸山正樹

 ウェルカム・ホームを読みました。特養老人ホームの日常を舞台にした小説で、派遣労働をクビになり介護士の資格を取得して働き始めた大森康介が老人ホーム入所者の世話をし、先輩介護士に相談しながら介護とは何なのかを考えていく物語です。
 自分とは遠いものだと思ってしまっていた介護について本当にそれって自分とは遠いのか!?と突きつけられている気がしました。

 介護とはいったい何なのか

 ”介護者という介護者はいない”

 老人ホームででの仕事はどうすれば事故なく管理できるのか。どうすればスムーズに運営できるのか。仕事だからマニュアル通りにやっていけばいい。かという部分が重視されていきます。

 当たり前ですが、介護の仕事は倉庫に置かれている物資を管理しているわけではありません。工場で物を製造して効率よく生産していくことが目的ではありません。介護とは人と向き合い、看取る仕事です。人によって今、何をしてほしくてどんなことを望んでいるのか。何を不快に感じているのか。は違います。きっと多くの介護に関わっている人が1人1人のことをケアしたいと思っていると思います。しかし日常に忙殺されて実際には出来ない、出来ないどころかこなしていくことを優先してしまう。

 小説はその状況に疑問をなげかけています。1人1人をケアできていないことを単に批判するのではなく、今の介護現場について知ることを問いかけてきます。

 学校ではどうなっているでしょう?生徒という生徒はいませんが、生徒を生徒として扱っているのが現状だと思います。1人が多くの人を見るということは不可能です。人が多数に個別で対応することはできません。人と人が見るしかないと思います。それでももし、人と人との間にトラブルがあったらっどうする?怪我させたら?何かあった時に誰が責任を取るのか?
  
 面白くてなおかつ、考えさせられる小説でした。

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