『他者の靴を履く』を読みました

 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が大ヒットしたフレディみかこさんが書かれた本を読みました。僕は前作を読んでいないんですが、フレディさんが雑誌で書かれていたエンパシーとシンパシーが気になって読んでみました。
 エンパシーとシンパシーという言葉は日本語ではともに共感と訳されることがあるんですが、実は違っているという話です。しかも海外では前から違いについて議論され、エンパシーという言葉はオバマ大統領も頻繁に使っていたそうです。

  エンパシーの分かりやすい説明として使われているのが「他者の靴を履く」です。ざっくり僕が理解した言葉で説明すると、自分では理解できないこと、人の行動に対して”分からない”と拒絶するのではなく、他者の過去や行動を考えてみて、想像してみることが必要だということ。エンパシーとは相手のことを想像して認める、許すためのものではないとも書かれている。エンパシーを働かせた結果として相手をもっと嫌いになることもありえる。しかしそれでもエンパシーが必要な理由に関してフレディさんはこう説明している。
 誰かの靴を履いてみれば、つまり、その人がどうして自分には許せない行為をしたのか、どこから問題ある発言が出ているかを想像してみれば、今後どうすればそのような行為が増えることを防げるか、または、どうすればその人自身の考えを少しでも変えることができるのかを考案するための貴重な材料になる。これを怠ってずっと同じ批判の方法を取っていてもあんまり効果は期待できないということは、近年の世界で生きている人なら誰しも気づいていることではなかろうか。

 自分に置き換えると勉強していない人に対して、頑張っていない、努力していない。ICTを使用しないという人に対して何でやらないのか?と否定するのではなく、まずは靴を履いてみる。

 本の中では教育の目的についても触れられています。今の教育はハードスキルばかりに注目が集まり、本当は大切にすべきである教育の目的である他者と関わることが少ないと書かれています。エンパシーはけして生まれながらのものではなくトレーニングで身に着けられるものだとも書かれていて、国語の中でもっと意識していこうと思いました。

面白い1冊でした。


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