『ブラックマーケティング』

 通常のマーケット理論では説明できない現在進行形で起きている様々な事象。
ネット上の釣り広告や悪質サイトからの請求。アイドルグッズにはまり、ゲームに課金して生活費をほとんど費やしてしまう。いくら注意喚起しても騙されてしまう振り込め詐欺など。

 損得だけで合理的に考えれば確実におかしいのに騙される、自分は絶対に騙されないと思っている人がハマってしまう。こうした現象がなぜ起きるのか?

 マーケティングを脳科学の視点で考えてみると謎の答えが見えてくる。そもそも私たちは本当に自分の意志決定のみで買う物を決めることが出来ているのか。マーケティングの専門家と脳科学の専門家が対談形式で話していく1冊です。自分に心当たりがあることが多すぎて・・・面白い1冊でした。

  販売する側に行動をコントロールされている

 
いくつか自分が当てはまっている理論として「プロスペクト理論」がありました。損をちらつかすことで消費行動を導く。今だけこの商品を買うとポイントがプラスされます、期間限定といった今、買わないと損しますよ、というのがこの理論です。期間が制限されることで焦らされて思考にプレッシャーがかかり、脳内にアドレナリンが分泌され、戦闘モードになり買ってしまう。
 完全にいつもハマってしまっています。期間限定セールなんて年間に何度もあると分かっているのについ買ってしまう。行動経済学、脳科学を活用したマーケティングは町のあらゆるところに存在しています。

 社会全体が「思い込み」を作り出している 

 
後半で気になった部分ではマーケティングとは少し違うかもしれないんですが、男女の脳の構造が実は同じであるのにも関わらず、世間が作った「女らしさ」「女性っぽさ」のせいで、いまだに女性は男性の総収入の1/10、総資産は1%以下だという事実。
 脳は社会が作り上げたものに適応してしまうという事実。学校にある「学生らしさ」「先生らしさ」みたいな思い込みが間違いなく息苦しさを生みだしているんだと感じました。

IMG_9447