『アーモンド』を読みました

 読みたいなと思っていた『アーモンド』を読みました。アーモンドとは脳の中にある扁桃体という部分のことで、人の感情に大きな影響を持つと言われている場所です。主人公のユンジェは小さい頃からアーモンドが小さく、怒りや恐怖といった感情が分からない。母親と祖母の愛情に囲まれて生きていたユンジェだった。ある日、通り魔に襲われて祖母を殺害され、母親は植物人間状態になってしまう。
 ユンジェは感情を理解できないまま、世界を生きていくことになる。そんなユンジェのもとに現れたゴニという感情をコントロールできない少年との出会いが少しずつユンジェを変えていく。

 小説の中で暴力ばかりで周りを従えて、ユンジェに暴力をふるってくるゴニに、恐怖心を持たないユンジェはこう言います。「みんなだってうわべでは怖がってるふりをしてるけど、内心では君をバカにしてるんだから」。ゴニがいない時の会話や行動でユンジェは人の感情を読み取り、言ってしまいます。結果ゴニは、さらに腹を立て暴力を重ねるんですが、しだいに、ユンジェにだけ本心を話すようになっていきます。ユンジェはそんなゴニの感情は分からないですが、ただその言葉を受け取ります。そうして少しずつ2人は関係を作っていく。

 感情とは何なのか?

 人は人と接する時にこう思うだろうと勝手に人の感情を想像する。外れることも多いけれど、なんとなく分かってくれると思って会話し、行動する。人は感情があるから行動するのか、行動があるから感情が生まれるのか。行動と感情が一致していないことが人にはよくあります。
 好きな人に意地悪をしてしまう、思っていないけどつい言ってしまう、周りの空気で賛成してしまう、何も言わないで終わってしまうなどなど
 ただ行動と感情が一致していなくても自分の中で感情はあります。そのことが分からないとしたら、日常生活をすることすら、とてつもなく大変になると思います。僕らは感情を持っていることを前提に過ごし、交流しています。つまり感謝される行動を取れば、感謝してくれることを期待しています。相手がまったくその反応をしてくれないとしたら、人はその人に行動を続けることが出来るのか。

 感情とは何なのか。感情がなくても人は人を愛することができるのか。感情を人に強制することが可能なのか。じっくりと考えることが出来る小説でした。


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