『ライオンのおやつ』を読んで

 いい小説でした。死とは何なのか。死というものとどう向き合っていくのか。死が怖いものではなく誰にでも訪れるものなんだというメッセージが感じられました。
 作者の小川さんがインタビューで書かれているのですが、母親からの癌の告白と死に対する不安を少しでも取り除き、死が怖いものではないと思ってほしいと思ったことがきっかけに書かれたという小説。あらすじは以下の通りです。

男手ひとつで育ててくれた父のもとを離れ、ひとりで暮らしていた雫は病と闘っていたが、ある日医師から余命を告げられる。最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ雫は、穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫は選べずにいた。

 作者のインタビューや特集記事は以下のサイトからどうぞ。



 僕が死について考えていること

 僕は人よりもしかするとほんの少しだけ死について考える機会が多い人生を歩んでいるのかなと思います。祖父母の死だけでなく、小中くらいの年齢で父親の死や母親の兄弟の死、従兄弟の死を経験しました。働き盛りといわれる親しい関係の男の人や女の人が死を迎える経験を複数回してきました。
 なので、年齢に関係なく人は死ぬんだということを強く意識するようになりました。生と死は反対ではなく隣にあるものだと考えるようになったのも中学生くらいだったと思います。
 もちろんいざ死を目の前にむかえるとどうなるか分かりませんが、20代のころからどうしても生きていたいという考えはなく、生かされている限り生き続けようと思っています。そもそも死は自分でコントロールできるものではないので、その時が来たら受け入れるという気持ちでいます。いい人や悪い人とかそんなこと関係なく、そんな人であっても人は必ず死にます。
 自分の死に対するスタンスと小説が少し近い気がして心が静かに温かくなる感じがしました。

こんなことを言いながら死を目前にすると抵抗しているかもしれませんが・・・

IMG_8437