『ファントム』羽田圭介

 やりたいことをやるには何が必要なのか?時間?お金?そもそも自分がやりたいこととは何なのか?今、自分がやりたいことをひたすらに我慢し、長期投資のためにお金をコツコツ積み上げていく。働くことなく、お金を生み出してくれる資産を作るために今を犠牲にしている主人公の華美。それに対して彼氏の直幸は今、必要なもののためにお金を使わないことを否定する。
 老後に明確に何かをやりたいわけではなく、とにかく資産を作ることが目的になってしまっているんじゃないかと自分の行動に疑問を抱く。自分が得ている株式の利回りによりお金は、いったい何なんだろうか?ただ人と人が売り買いするだけでうまれるお金とは何の意味があるんだろうか?自分のやっていることがあっているのか確信することが出来ない。資産形成をしている老人に出会っても幸せかどうかの確信が持てない。働くことなくお金を得れる状態を目指しながらそれが幸せなのか分からない。かといってお金のない生活がいいとも思えない。
 ただ同時に、彼氏のようにお金に頼ることなく今やりたいことをしながら生きていくことに対しても納得することが出来ない。資本を拒絶し、お互いの信頼だけでやっていくという極端な思想にも疑問を感じる。資本主義の恩恵を受けながら資本主義を批判するのは正しいのか?

 小説に出てくる内容はどれも現実社会でまさに起きているようなことばかりなのでかなり心が揺さぶられます。
 
 お金がないと出来ないことがあるのも事実、同時にそうでない価値を見つけることが必要

 僕自身も長期分散投資を行っていて、マネーマシン的なものを構築することを目指しています。老後のためにある程度の金融資産が必要だと考えています。それは僕の幸せのカタチを目指す上でお金が必要になってくるからです。資本主義の中で生活していくうえでお金があることは何かを守るために必要になってきます。
 もちろん資本にとらわれない価値を創り出すことが幸せには必要だと思っています。川の石のコレクションに幸せを感じる、山の中でぼんやり過ごす時間に幸せを感じる、家族と公園で過ごす時間に幸せを感じる、家族との毎日の夜ご飯になどなど、資本ではないところへに価値を感じることが出来るか。


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