人の気持ちを察することが苦手
 
 『雨夜の星たち』の主人公、三葉雨音は人の気持ちを察すること、普通の人ならそうするであろうことをするのが苦手な人物。人の言葉をそのまま受け取る。直接的な表現は出てきませんが、きっと三葉はASD(自閉症スペクトラム障害)をベースとして描かれているんだと思います。
 ここ数年、小説のテーマとして取り扱われることも増えてきているような気がします。社会全体から強制される普通が生きづらい人、普通に疲弊する人が増えてきているんだと思います。

 どんな場面でも基本的に人の気持ちを察することが求められる、そして相手の気持ちを害さないことが求められる。「正直でいなさい」と同時に「嘘も必要ならつきなさい」「言わなくていいことは言わないようにしなさい」も必要になる。

 小説のあらすじは以下の通りです。
 できないことは、できません。やりたくないことも、やりません。三葉雨音は他人に感情移入できない26歳。同僚星崎くんの退職を機に、仕事を辞める。他人に興味を持たない長所を見込まれ三葉は「お見舞い代行業」にスカウトされ、移動手段のないお年寄りの病院送迎や雑用をする「しごと」をはじめる。文芸界の注目著者が「めんどうな人」の機微を描く!
 

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