『「教える」ということ』を読んで

 出口 治明さんが書かれた教えるということを読みました。”なるほど”、”うーん”。と思えるいい本でした。”なるほど”ばっかりじゃなく、ほどよく個人的には疑問を感じるところもある本っていいですよね。本と対話できます。夜に本を読みながら、それって本当にそうなの?みたいな感じで頭の中で会話してます。

そんな中で、出口さんがいろんな本で書かれていて、確かに大事だなと思う考え方を紹介しておきたいと思います。物事を考える際には3つの視点を持たなくてはならない。

「タテ:歴史から見る」
「ヨコ:世界と比較して見る」
「数字:エビデンスを持って見る」

 どういうことかというと、具体的に日本で少し前に最高裁で行われた夫婦別姓の裁判に対してどう見るべきかとうことを説明していきます。

タテの視点:源頼朝、北条政子 という歴史上かなり有名な夫婦を見ると分かるように、そもそも日本は夫婦別姓であったので、夫婦が同姓になることは日本の伝統ではない。

 ⇒ 日本の伝統だから同じ姓にすべだという主張が間違っていることが分かる

ヨコの視点:先進国の中で夫婦が同姓なことを強制している国は皆無。多くの場合、女性が姓を変えることになるというのは、女性の人権を軽視している。

 ⇒ 日本は男女の人権意識が低く、世界のスタンダードからずれている

数字の視点:夫婦別姓にしている国の割合、夫婦別姓を望む割合などの数字データ

 ⇒ 夫婦別姓にするべきだというのが、個人の意見ではないことが証明される

 物事に対して、常に3つの視点を意識しておくことで具体を一般化してしまうことを防ぐことが出来たり、正確な意見として議論することが可能となる。


 教育をタテの視点で見る

 もう1つ教育をタテの歴史から見た視点が納得でした。

 今、教えるということで重視されているのは、環境変化に対応できる汎用的な力を身につけることではなく、その時の政治経済状況に対応できる短期的な知識。指導要領などでも汎用的な力、どう学ぶかが重要だと言われているが、状況はなかなか変わっていない。数十年前から政治経済状況は変わっているが変わらない。それは短期的な知識を教えてもらった人が教える側になっていて、一定の成功をおさめているから。

具体的には「製造業のモデル」がいまだに教える中に色濃く残っている。
・長時間、我慢できる。
・目の前の作業の改善に注力し、与えられたことをやる。
・従順、素直、協調性

 個性ある多様な人材を生み出すためには「教える」ことの意味を問い直す必要がある。気になった人はぜひお読みください。


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