『理科系の作文技術』まんがで分かる
 
 『理科系の作文技術』木下是雄さんの名著がまんがになっていたので読んでみた。
理科系の作文というのは理系の人が書く文章という意味ではなく、仕事上の書類や論文、企画書といった内容を簡潔に読み手に伝える文章のことを指している。
 自分用の日記や人に面白く読んでもらう小説などとは違う文章の書き方の説明で、社会で働くうえでかなり必要な作文技術だと思う。
 どうしても作文というと、国語の授業で書かされるものをイメージしてしまうが、そういった感想文や自分の気持ちを書くというものとはまったく違う。
 どちらが必要かという議論ではなく、どちらも必要で、どちらも違う技術が必要なのに学校の作文指導は感想文的な指導に偏っているという指摘もされていて、その通りだなと思う。
 学校現場で「私はどう思ったか。」という心情を書くことが求められる場面が多すぎると感じていたので、現場に戻ったら『理科系の作文技術』を教室に置いておこうと思う。

 どんな技術なのか。
 まんが版はIT企業に入社する新人と、指導を担当するベテラン社員という構成で展開されていて読みやすく、要所でまとめながら書いてくれているので分かりやすく興味ある人はぜひ読んで下さい。
いくつかをまとめておきたいと思います。

・必要なこと「だけ」書く
 読む相手を考えて、知っている人に知っていることを書く必要はない。
 資料をまとめてといわれた際に、読むのはまとめてと言った側です。その人に対して基本から全てを書く必要はありませんし、書いても無駄です。読み手がどんな目的で文章を依頼しているかを考えて、本文を構成する。

・重点を先に書く
 何が書いているのかを最初に書いてしまう。文書を見直す時は全文を読むという作業は面倒です。パッと見た瞬間に何が書いているかの概要があり、そこから細部を書いていくというのが、読みやすい文章です。新聞の見出し(表題)とリード文をイメージするといいと思います。

・意見と事実を明確に使い分ける
 最近、パソコンよりスマホのほうが人気がある。→ただの意見
 2016年にスマホの普及率が71.8%となり、パソコンの73%に迫っている。 →事実
事実の上に立ち、論理的に導き出された意見になっているかを意識して書く。

 最初に主語と目的語を持って来る、理科系の作文は正確に英訳されやすい文章とも言えます。これから自動翻訳の技術は向上していきますが、理科系の作文の技術をマスターすることで、より正確な英訳が実現できるようになると思います。
 


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