悪は遺伝するのか
  
 中山七里さんの「弁護士・御子柴礼二シリーズ」4作目。自分の母親が容疑者として捕まる、依頼してきたのは妹。母親は本当に殺人を犯したのか。内容はAmazonより引用。
報酬のためには手段を選ばない悪徳弁護士・御子柴礼司の前に、妹・梓が三十年ぶりに現れる。梓の依頼は、旦那殺しの容疑で逮捕されたという母・郁美の弁護だ。悪名高き〈死体配達人〉が実母を担当すると聞き動揺する検察側。母子二代に渡る殺人の系譜は存在するのか? 
 最後に書かれている殺人の系譜。悪は遺伝するのかという問題。日本では昔から「カエルの子はカエル」のように親と同じような子どもが生まれるというイメージがある。親よりも優秀な子が生まれにくいことから「トンビが鷹を生む」という諺もある。遺伝というものが持つ力はかなり大きいと思われている。
 よく悪いことをした子どもに「親の顔が見てみたい」なんていうこともある。しかし、これって本当なのだろうか。子どもは親からの遺伝によって性格や様々なものが決まるのだろうか?実は性格や行動といった内面的な部分は遺伝によって決まることはあまり多くないと言われている。
 見た目は親の遺伝の部分は大きく影響するが、内面に影響するのは環境が大きいと言われている。

 親と子どもは同じではない

 つまり、親からの遺伝で性格が決まったりすることはほぼない。僕は犯罪を犯したとしても親のせいではないと思っている。親に責任をとらせることが、正解のような雰囲気は良くないと思う。ただ、身内の犯罪について考えると、東野圭吾さんの『手紙』をふと思い出す。
 そして罪を犯したとき、人はつい責める先を求めてしまう気持ちが自分の中にもゼロじゃないことを自覚する。小説は、本当に答えのないことを問いかけてくる。

遺伝