「メシ・風呂・寝る」から「人・本・旅」へ
『知的生産術』出口治明さんの本を読みました。内容は以下の通り。 
 還暦でライフネット生命を創業し、現在は、スーパーグローバル大学である、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明氏が語る、短時間でアイデアと高い成果を出す方法。
その中でこれからの時代を生きていくためには生活の基本を「メシ・風呂・寝る」から「人・本・旅」へ切り替える必要があると書かれています。長時間労働により自分の時間のほとんどが「メシ・風呂・寝る」になってしまっているうちはいい考えはうまれないというものです。確かに納得する部分も多いです。新しい人と出会い、「多様な脳が集まるほど、アイデアが生まれやすくなる」という考えや本は「食わず嫌いはやめていろいろな本を読む」。また旅は「身をもって体験すると、理解のレベルがぐんと上がります」とあります。どれも確かにそんな気がすると思うことばかりです。

 カント的な生活はイノベーションを生まないのか
『純粋理性批判』で知られるカントは毎日、規則正しい生活を続けていたと言われる。食事の時は複数の人数で食事をしていたらしいがあまり多くの旅には出ていない。むしろ同じ生活を好んでいた。僕は正直どちらかと言えば出口先生の生活のほうがイノベーションがうまれると思っていた。しかし、新しい人と出会うことや旅に出ることなくてもイノベーションをうむことは可能なのではないかと思っている。西川純先生の生活に旅や新しい人と積極的に出会うという行動はあまりない。しかし多くのことを組み合わせ、継続することで未来を想像している。もちろんカントにしろ西川先生にしろ生活の全てを知るわけではないが自分の中で選択してきたのだと思う。ということは自分の中で何かを制限し、集中させることが新しいイノベーションを作り出すのだと思う。『エッセンシャル思考』、『イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」』のように全部ではなく絞ることが大切なんだとあらためて実感した。面白い本だった。

旅

นิธิ วีระสันติによるPixabayからの画像