石川晋さんについて
 NPO法人授業づくりネットワーク理事長である石川晋さんはポスターにも書いている通り年間に100校以上の学校を訪問し、伴走者として学校と丁寧に向き合い続けている方です。僕は今までに2回ほど講演を聞いたことがありぜひ上越教育大学に来てほしいと思い研修を依頼させていただいた。石川晋さんの出版された本は多岐に渡っている。専門としている教科は国語科ではあるが国語科の教員という従来の枠にはおさまっていない方だと思う。

 想像力の欠如が透明な子どもを作り出している
 算数の全国学力調査の問題において観覧車を待つ子どもの問題を読み、晋さんは観覧車を観たことない子どもを想像していない出題者に憤りを感じていらっしゃった。観覧車を観たことがない子どもは透明にされている。これは単に全国学力調査だけのことではなく今、世の中で多くの子どもが透明にされているということなんだと思う。透明にされてしまう子どもたちに地方の教員たちはいかに声を上げることが出来るのかがとても大切だと思う。

 コロナによって学校に何が起きたか
 コロナによって学校によって遅れがあってもなくても全国一律の休校が求められた。なぜ休校の対応をしていなかった地区や感染者が出ていないところでも一斉だったのだろうか。
「小中高など91%が臨時休校(4/22時点)文科省調査」(https://resemom.jp/article/2020/04/27/56010.html)
ただ同じ対応が求められながらもコロナによる各学校での個別の対応は様々だった。同じ地区内であってもまったく違う対応が取られていることもあったそうだ。隣の教室で学習進度は同じでもどんな授業が行われいているか把握できていないことも多くあったそうだ。晋さんは実際の事例をもとに学校の現状を教えてくれた。その中でも特に初任者が抱える問題について触れてくれた。

 初任者がコロナによって受けた影響
 コロナの影響でただでさえ余裕のない学校からさらに余裕が奪い去られた。生徒への課題はどうするのか、オンラインにするのか、遅れが発生したぶんはどうするのか。職員室内の余裕がない空気でのスタートによって初任者には以下のような問題が発生したと分析されていた。
・ルール遵守で動くしかない。
・履修条件に対して柔軟対応が出来ない
・配当学年の定型イメージがない
・一斉指導で必要な教師のプレゼンス経験がない
・授業・教室観察での視点・切り口が少ない
・使えるアクティビティ、子ども対応のバリエーションが少ない
・初任研がない
今も学校には余裕がない。来年になればコロナの問題が全て解決して急に余裕が出来るのか。そんなことは間違いなくありえない。コロナから見る学校はまったく新しい問題ばかりが発生したわけではなく今までの問題がより顕在化したととらえるべきなのかもしれない。


石川晋さんチラシ