未完の小説

 未完とは言葉のままで完成していないことで、未完の小説とは完成していない小説のことを指す。完成していない小説をなぜ読めるのかというとほとんどの場合は作者の急逝で完成しなかったが出来上がっているところまでで出版するという形を取るからだ。未完の小説として有名なのは太宰治の『グッドバイ』などがある。先日、ブログにも書いた『竜の道』も未完で終わっている。物語的にいよいよこれから終盤というところで終わっているので未完は嫌だという人はお勧めできない。逆に言うとそれくらい先が気になってしまう小説だった。僕は白川道さんという作家の作品を読むのが『竜の道』で初めてだったので白川道さんのことをほとんど知らなかったが続きが気になって調べてみると凄い経歴の持ち主で作品とともに本人のことが気になった。逮捕歴もありベストセラー作家となっても借金を重ねていたという。事実婚されていた方と竜の道の担当者の死後のコメントを読むと人間性が伝わってくる。
【追悼・白川道】心を焦がした流星(https://www.bookbang.jp/review/article/30537)
『竜の道』が連続ドラマ化!担当編集者が明かす、著者・白川道の素顔(https://www.gentosha.jp/article/15012/)


 作者は出版してほしかったのか。
 急逝してしまった場合は作者に意向を聞くことは出来ないので分かることは永遠にないのだが未完のままでも世の中に出してほしいと思っていたのだろうか。『竜の道』はかなり面白い小説だっただけに作者がどんな展開で最後にどんな結末を用紙していたのか知りたかった。書く側も自分のラストを読んでほしかったのではないだろうか。未完で出すことによって結末が自由になってしまう。ドラマの結末は気になるが復讐は復讐を生み出すみたいな終わり方は僕の中ではしっくりこない。もちろん自由に解釈できるのが小説の良さでもあるのだと思うが…
 音楽の世界ではよく未発表曲が死後に世の中に出されたりするが未発表にしていたのは未発表にしたかったからではないのかと思ってしまう。ファンの心理からすると嬉しいという気持ちもあるが未完成のものであっても評価を受けてしまうのは本人が望むところだったのか。

 自分が死んだ後のことを考えるのはネガティブなことではない
 人は本当にいつ死ぬか分からない。そんなことを心配しながら生きても疲れるので毎日、いつ死ぬか分からないなんてことは考えませんが死んだときに伝えたいことがあるなら前もって残しておくのはありなんだろうなと思う。ロンドンブーツの田村淳さんが遺書動画サービスitakotoというのを行われています。(https://itakoto.co.jp/)生きているうちに死ぬことを前向きに考えて伝えておく。僕は葬儀にはオルゴール曲は流さずに懐メロとかがいいなと思っています。そんなことを残しておくだけで残った人は思いを汲むことがことが出来ます。他にもいろんなことを伝えておくことできっと死と前向きに向き合えるんだろうなと思います。未完の小説に出会って死についてあらためて意識しました。

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