校長先生とはどんな存在か

  自分の経験上の話だが教師の日常で校長と関わる機会はかなり少ない印象がある。校長面談と呼ばれるものが年に1度あるがそれ以外ではなかなか話す機会がない。もちろん職員朝礼や会議などに姿はほとんど毎日見ているが、何をしているのかをあまり知らない。だからといって校長にずっと職員室にいてほしいというわけではない。管理職という名が表している通り校長は学校を管理する立場にいるのでずっと一緒にいるのはお互いにとって良くない。学校教育法で校長の職務は「校務をつかさどり、所属職員を監督する」とされている。詳しくはこちらのサイトが分かりやすい。小学校の校長先生の役割(https://www.homemate-research-elementary-school.com/useful/11244_eleme_069/)

 校長になる方法
 多くの教員は校長先生になる方法を正確に知らない。管理職試験というものの存在を知っていてもどういう方法で受けるのかなど詳細を知っている人は少ないし、管理職になりたいと言う人は少ない。ちなみに校長になる方法は全国画一的な方法ではない。年齢や採用年数も各自治体によって異なる。多くの場合は教育委員会から管理職登用試験の通知が校長に届き、校長が自分の学校から推薦者を選び、選ばれた該当者は一次選考試験をこっそりと受け、通過するとまたこっそり二次試験を受けるという流れである。二次試験に合格しても管理職に登用されるかは3月ごろまで分からないままで、合格しても管理職になれないで終わるというケースもある。そういう試験がこっそりと毎年、行われている。ただ最近は管理職希望者がどんどん減っていてついに神戸市では管理職試験の内容を大幅に変更しました。
「神戸市教委 昇任試験すべて廃止へ 管理職嫌がる教員増加で」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200910/k10012610621000.html)


 管理の論理の限界
 2005年、今から15年以上前に書かれた『校長という仕事』吉田慎一郎著という本の中に管理するだけの管理職は変化する必要があると書かれている。問題も起きず毎日が過ぎていく状態を維持するために管理するという考え方の学校は限界を迎えている。管理することは毎年のように増え続けていてミスしないため、何も起きないようにするための労力で管理職も疲弊している。管理職である教頭は教員不足を補うために授業まで行っていることも多い。管理しなければいけないというのは教えなければ学ばないと通じているのだと思う。校則を作り守らせないと学校は荒れるという思考と似ている。本当にそうなのだろうか。教師に任すと放任するのはまったく別だ。校長はビジョンを明確にし、大切なものを絞り込み、優先順位をつけて語り、達成してほしいと信じて任す。そして適切なタイミングで対話を行いビジョンにズレがないかを確認する。まず自分が「学ぶ」姿を提示し教員にも求める。そういった管理の論理からの脱却が必要だと言われ続けている。しかしながら実現するに至っていない…

 変化の兆し

 ただ変化の兆しはある『学校の「当たり前」をやめた』工藤勇一(現横浜創英中学・高等学校校長)や『クリエイティブな校長になろう』平川理恵(現広島県教育長)『管理しない校長が、すごい学校組織をつくる! 「任せる」マネジメント』住田 昌治(横浜市小学校校長)などビジョンを示し、学校を変えていこうという校長が続々現れている。また軽井沢風越学園、N高等学校といったビジョンを明確に示した学校も登場している。変化の兆しが兆しだけで終わらないようにするために僕もビジョンを持った管理職を目指していこうと思う。

校長


参考

校長先生という仕事 (平凡社新書)
吉田 新一郎
平凡社
2005-04-01