芥川賞受賞作品を続けて読んでみました。


社長の思い付きで仮想通貨を発掘する課の課長になった主人公。


小説家に憧れながら働き鬱病になり今は東京から離れ名古屋で暮らすニムロッド(あだ名)。


過去に子どもを人工妊娠中絶した一流企業のキャリアウーマンの彼女。


物語はこの三人の現実世界とニムロッドが書く小説の世界が混在しながら進んでいく。


ビットコインの創設者と同じ名前をもつ主人公ナカモトサトシ。


ビットコインという存在しないものに価値を認める人間。


人間の存在は何なのか?


途中に出てくる失敗した飛行機の歴史。


核燃料で飛ぼうとした飛行機。

本体が重すぎて離陸出来ない飛行機。

鳥の羽のように羽を曲げて作ってしまった飛行機。

垂直に上がって平行に飛ぶことを夢みた飛行機。


帰ることを考えることなく作られた戦闘機。

作る前に判断されしまう失敗作。


判断するのは人間ではなく機械の中。


人類はもうあり得ない失敗は作れなくなっているのかもしれない。


人類はこれから何を求めていくのか?


見えないものに価値を見つけ自分たちの価値を見失い、帰り方を見失った社会。

交換不可能な自己など存在しないことを知りながら生きるしかない人生。

僕はいったい何者なのか?


人間が手に入れたいものは何なのか?


人間が人間である理由は何なんでしょうか?


生きることに理由なんているんでしょうか?


未来に種を残していくことが本来の動物の目的だったはずがあ人間は種を残すどころか自ら命をなくすことができる進化を遂げました。


生きる意味を考えることが生きている意味を見つけ出せなくしてしまう。


日常の意味を考えることで自分の存在の意味を見失う。


意味なんてそもそもなく人間が生きる意味を考えるなんてこと自体が愚かすぎるのかもしれません。



良かったです。


心の中でモヤモヤします。


小説を読み終えた後のこんな感じが僕は好きです。




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